首相の辞任は、自民党の政治路線自体が国民の願いと相容れていないから
(以下のことは、僕なんかが発言しなくてもわかっている人はたくさんいるだろうけど)
先日、福田首相が辞任した。安倍首相に続いて、臨時国会前に首相の任務を投げ出した。しかも選挙もしないで首相だけ交代するのは、筋が通らない。野党のせいにして首相を投げ出すのは、安倍首相と同じである。僕は、首相の任務を投げ出すなら、本来は選挙で信を問うべきだと思う。少なくとも、自民党の中で首相の座を争ったり転がしたりしている場合ではないだろう。セメント会社や、某知事の息子など、総裁選には二世、三世がつぎつぎ名乗りを上げ、イージス艦事故で対応が問題視された石破氏まで出馬の意向を表明しているとか。何だかめまいがしそうである。
同時に、福田氏が首相を辞任せざるを得なくなったのはなぜか。福田氏は辞任の理由として、内閣支持率の低迷や、野党の反対などをあげたが、内閣支持率の低迷には、もっときちんとした理由があるはずだ。ガソリンの暫定税率に固執した福田内閣。悪評高い後期高齢者医療制度をよい制度だと言い張る。原油高・物価高でも、国民生活より、アメリカ軍への対テロ戦争に対する給油に熱心ではないか。地球温暖化でも日本は有効な手だてをしめせず、サミットでは日本どころか世界まで失望させた。これで内閣支持率が上がるはずがない。
さらに国会運営がうまくいかなくなったのは、参議院で与野党が逆転したからだが、野党が多数になったのは、国民生活がたいへんになっているからである。「生活を何とかしてほしい」「自民党じゃダメだ」という声が、昨年の参議院選挙の結果として現れた。この声を無視して、政治なんてできないはずなのに、自らの政治路線をほとんど改めず、野党のせいで国会運営が行き詰まったようにいうのは、福田氏自らが強調したはずの「国民目線」を、福田氏自身がまるでわかっていない証拠である(もっとも、彼が「国民目線」を理解し心得ていると期待した国民も、それほど多くなかっただろうが)。
しかし「国民目線」がわかっていないのは、福田首相だけではない。自民党自身が国民目線などとは反対のことをしてきた政党なのだ。たとえば後期高齢者医療制度は、小泉氏が首相の二年前に決めたことだが、もとを正せば、お年寄りだけ別の健康保険をつくるとの構想は、97年に国会で決議されたことである。消費税も89年に「福祉のために」導入されたはずだが、社会保障は悪くなるばかりだ。そして、医師不足の解消をしろという世論もわき起こっているときに、小泉首相以来の社会保障予算自然増2200億円削減、という路線は変えないという。医師不足も、医学部の定数の抑制からきたものだが、これは中曽根首相の臨調行革時代から続いている政策の、当然の帰結として起きている。あっちでもこっちでも、長年の自民党政治のやり方が、問題となっているのである。
こうした路線に、国民の反発が大きくなった。その反発の世論を背景に、民主党も動いているにすぎない。福田首相は「積年の問題が顕在化し、その処理に忙殺された」といったが、背景に、長年の自民党政治の路線がいよいよ行き詰まり、国民の支持を得られなくなったということがある。国民の願いと自民党政治の路線が相容れなくなっている。自民党路線のもとで、国民生活、いのちさえ守れない日本社会になろうとしている。そのことへの反発をごまかしてやりすごせなくなったために首相を続けることができなくなった。それが福田氏である。同時に、福田氏がやめざるをえなくなった背景に、自民党の政治路線と国民の願いとが相容れない現状がある以上、誰が総裁になろうが、自民党であるかぎり、急進的か、慎重派か、その程度の違いしかない。
※民主党に政権が変わっても、それだけで自動的に政治がよくなる、政治の路線が変更されるとは少しも思っていないことは付言しておく。
【08/9/11、一部修正=取消線および、斜体部分】
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コメント
久しぶりですが、一つだけ突っ込み。
>アメリカ軍への給油に熱心ではないか。
給油の実績を一度でも見たことがあるんですか?
防衛省のHPに掲載されているのを見ると、一番多いのはパキスタン海軍ですが・・・
投稿: フフン | 2008年9月10日 (水) 22時54分
これは失礼しました。
ここ最近はパキスタンが多いみたいですね。文章を修正しておきます。
もっとも、パキスタンへの給油であっても、アメリカの「対テロ戦争」への支援だという性格はかわらないように思いますが。
投稿: おさかな | 2008年9月11日 (木) 20時46分
私としては、その対テロ戦争の支援をすることで、米国だけでなく欧州諸国やカナダ、オーストラリア等々の側に立っていることを示せるわけですから、日本のためにもなっているし、今後も続けるべきだと考えております。
投稿: フフン | 2008年9月11日 (木) 22時14分